小説はビジネス!「小説家という職業」のレビュー
書籍「小説家という職業」のてぃーの個人的な感想(レビュー)です。
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森博嗣氏の作品はスカイ・クロラ
全体の感想
森博嗣氏は小説家は本業ではなく本業は国立大学建築科の教授です。
2005年に退職されてからは本業になったかは不明です。
その森氏の小説に対する考えが詰まった本です。
大学の仕事中は小説のアイデアは全く考えることはなく、仕事が終わってから1日2時間執筆にあて、2~3週間で書き上げるという筆の早さ!
執筆にはあまり苦労をしたことがない天才タイプなので小説を書く難しさは軽々と乗り越えてしまったようです。
そのため、小説の技術に関しての難しさやノウハウについてはほとんどなく、森氏の個人的な見解が中心です。
小説に対しては芸術家ではなくビジネスとして捉えている点が新鮮です。
また、ネット社会における読者や書評、出版業界の未来像などについての話が面白いです。
印象に残った点
詳しく書くとネタバレするのでちょこっと紹介します。
<大前提>
・もしあなたが小説家になりたかったら、小説など読むな。
・人の作品を研究したことで生まれる作品など、たかが知れている。
・小説家になりたいのならばすぐに書き始めるべきだ。毎日時間があったら作品を書こう。
・うまく書けないというなら20作ほど書いた後で悩んでもらいたい。
<プロのもの書きの条件>
・僕はビジネスで小説を書いた。ビジネスなのだから「相手からお金を取る」という
行為に対して、もっと責任を持たなくてはならないだろう。
・「人気者になりたい」というのは「他人に好かれたい」ということであるから、
作品をちょっと貶されただけでスランプになったりする。
<読者への意見への接し方>
・読者の多くがある作品に対して「ここが良かった」と指摘してきたら
同じことはやりにくくなる。
・たえず読者の期待を裏切ることが作家の使命なのだ。
・自分の作品を人から批判されて腹が立つ人は、もう書くのをやめた方が良い。
腹が立つこと自体が、自信がない証拠だし、笑って聞き流せない思考力、想像力では、
創作という行為においては明らかに能力不足だろう。
<小説の流通の未来>
・(ネット流通が盛んになれば)それをサポートする人員が必要になるだろう。
おそらくそういった業務を引き受ける職種が現れるはずだ。
<出版社の協同組合>
・出版社はメーカではなく販売についても直接には行っていない流通商社の一つと言える。
小説をビジネスとして割り切っているのでかなりシビアですね。
本業ではなく副業ゆえにこのような観点からコンテンツを生み出せるのかもしれません。
<大前提>については、
まさにその通りです。とにかく書くことが必要です。
書く前にあれやこれやと妄想膨らませたりしても実際に書き始めたらうまくかけないことは多々あります。
まずは書いていくことが大事だと思いました。
<プロのもの書きの条件>と<プロのもの書きの条件>については、
たえず新しいものを生み出さないといけない小説としては批判の方に耳を傾けるべきというのはなるほどと思いました。
確かにビジネスと割り切れば悲観的な感想も受け入れられるはずです。
芸術家としてや「人気者になりたい」という理由ではつらい現実です。
(てぃーもアプリ開発は「人気者になりたい」というスタンスで始めたのでApp Storeのレビューで気が沈んだりしたこともありましたが^^;)
<小説の流通の未来>については、
この本は2010年に書かれたものですが、2013年の現在電子書籍もそれなりに広まりつつありこの予想は正しかったと思います。
上では書いていませんが、町の書店についてもネット書店とは目的が違うので生き残ると予想しています。
お薦め
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