テレビドラマ「わたしを離さないで」のレビュー(感想)
テレビドラマ「わたしを離さないで」のレビュー(感想)です。4話まで見ました。
臓器移植の提供のみの目的で人工授精によりこの世に誕生させられたクローン人間たちの物語です。彼らの存在や行動は報道規制によってほとんど報道されず、普段人々は彼らを意識することもないようです。
彼らは臓器を提供し、必要がなくなれば焼却炉で殺処分されます。彼らは幼少期から養護施設で思想教育を受け、自分たちを「臓器提供という尊い使命を持った天使」であると教え込まれます(実際は思想統制は深くなく、懐疑的に思われています)。
養護施設を出るとコテージと呼ばれる施設に行き、同じ境遇の者達と共同生活を営みます。しばらくすると彼らはまず「介護人」となります。介護人とは「提供者」が最初の臓器提供以降は体が不自由になるため、提供者の身の回りの世話をする者のことです。
その後、通知が来ると提供者となるのです。
彼らは子孫を残すことができないように遺伝子操作されています(生殖行為はでき、ドラマでも出てきます)。
原作は小説で、映画や舞台にもなっているそうです。
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てぃーは原作などは読んだことはなく、単に「綾瀬はるか」でキーワード録画していたら自動録画されたから見始めることになりました(笑)。
視聴率は非常に低く、当初は裏番組で「天空の城ラピュタ」や「魔女の宅急便」が放映されていたためとされていましたが、裏番組に強力なライバルがなくなった第3話以降も視聴率は高くなれませんでした。
そりゃそうでしょう。テーマが重すぎます。いくら綾瀬はるかが主演のドラマといっても挽回できません。金曜の夜に好き好んで見るドラマではありません。
また一見社会問題を取り上げているように見えますが、臓器移植のためのクローン人間など現実離れしすぎて現実にも当面はあり得ません。クローン人間を普通に生み出せる医学があるならば、そもそも臓器移植をしなくてもいい別な方法が生み出されているはずです。まともなクローン人間を作る方が遥かに難しいわけですから。
またなぜ臓器移植に批判的なテーマなのかも分かりません。現在でも臓器移植を希望する人や、実際に臓器移植をしたおかげで命が助かった人も非常に多いわけですから。それなのに臓器移植をなぜ批判の対象にしているのかも理解できません。
もしもう少し人々の共感を得られるストーリーとするならば、臓器移植のためのクローン人間の話ではなく、食べられるために生み出された牛や豚といった家畜を擬人化した話にすればよかったような気もします。
まあこれだとありがちなストーリーで、例えば藤子・F・不二雄のSF短編集「ミノタウロスの皿」や少し前に話題になったブレンディーのCM「挽きたてカフェオレ『旅立ち』篇」がよく知られていますね。
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ドラマでは介護人となった綾瀬はるかが過去を回想しながらストーリーが進行します。そのため過去のシーンで提供者にならなくても良いように頑張ろうとする姿が余計に絶望感を生み出しています。もし現在の姿がなければ、見ている視聴者も彼らが提供者にならなくて済む未来を期待できたわけですから。
テーマが重く、希望を持てないストーリー。視聴率が低いという世間一般の評価は仕方ないですが、てぃーはこの手の絶望感いっぱいのストーリーは結構好きなので(苦笑)、周囲に流されず、今後も見ていこうと思います。
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